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文档简介
助動詞活用の付属語。用言や他の助動詞について叙述を助けたり、体言やその他の語について叙述の意味を加えたりする働きをする。1/521古典日本語助動詞の分類ー意味による分類2/522古典日本語助動詞ーー
接続による分類3/523過去助動詞「き」:~た
自分の経験の回想。前は連用形。逃げ行きき。(『古事記』)孫よわが幼きものよこの国の喉元は熱きものを忘れき。長らへばまたこの頃や偲ばれむ憂しと見し世ぞ今は恋ひき(『新古今和歌集』鎌倉時代13世紀)「見き」は女と寝ること。会社で企画を考えるときに、「とは言っても、予算ありき、でしょう」と言ったら、「予算が決まらないことには、内容を考えることはできない」という意味です。若松に赴かんとして道に死しき。4/524過去助動詞「き」
サ変動詞の未然形「せ」、カ変動詞の未然形「こ」、連用形「き」に連体形「し」、已然形「しか」が付く。連体形―葛の花踏みしだかれて、色あたらし。この山道を行きし人あり(釈迢空・折口信夫)戦死せし兄は遺族の知らぬ間に靖国神社に祀られていき。来しかた、行くすえ。未然形ー世中の憂きたびごとに身をなげば一日に千たび我や死にせむ(『九品和歌』平安末期10世紀)。已然形ー取りに行きしかど、無かりき。遥々と我は来しかど私の旅にあらねば姑くの暇もなくて甚惜き。5/525過去助動詞「けり」
動詞「く(来)」の連用形「き」+動詞「あり」=「きあり」=「けり」。連用形に付く。~てきた(継続)、~たということだ、~たそうだ(伝聞)、~たなあ(過去に対する詠嘆)人生の節目に吾子は装いて手元をふわりと離れ行きけり。酒呑めば経済危機など忘れけり!字書どもあらためぬるに、始めておのが無學を恥ぢけり。男、すずろなる目を見けり(吉田兼好『徒然草』鎌倉時代末期14世紀)昔、男ありけり(『伊勢物語』平安時代9世紀)ある狩人、猪のししを見付け、打とらんと思ひ、あわてて玉をわすれ、空鉄砲をはなしける。うろたへる猪にて、おどろきて死しけり。(『近世笑話集・上・軽口本集』)木にかきつけて、庵にきて死にけり(『大和物語』平安時代10世紀)。かの使いを乗せた唐船、日本に来けり。(『竹取物語』平安時代10世紀)6/526過去助動詞「けり」
終止―けり連体―ける
未然―けら(上代のみ)已然―けれ連体形ーかの若君の四つになる年ぞ、筑紫へは行きける。(『源氏物語・玉鬘』平安時代11世紀)已然形ー行きけれど、え逢はでのみ帰りて、詠みてやりける。(『伊勢物語』平安時代10世紀)7/527完了助動詞「ぬ」
動詞「い(去)ぬ」から。無意志動詞の完了。連用形に付く。~た、~てしまう、~てしまったおしゃれなど気にせぬ夫が正月がくると言いつつ理髪店に行きぬ。肌を刺すやうな風の寒さに夢を忘れぬ(樋口一葉『大つごもり』1894年)数日を施設に花の香りなく気付かぬ我の心を恥ぢぬ。『故国ありぬ』。炎にまぐれてたちまちに死しぬ(鴨長明『方丈記』鎌倉時代13世紀)女ついに病重くなりにて死にぬ。(『今昔物語集』平安末期12世紀)橘の薫る軒端に窓近く蛍飛び交い怠り諫むる夏は来ぬ(『夏は来ぬ』明治中期の童謡)8/528完了助動詞「ぬ」
終止―ぬ連体―ぬる連用―に
未然―な已然―ぬれ命令―ね連体形ー往にし人の無念の如く太陽に灼かれ行きぬる真夏の葬列。連用形ーあずさ号秋を尋ねて行きにけり。未然形、命令形ー行きなば行きね遠海に。已然形ー極楽世界に行きぬれば、長く苦界を越え過ぎて、輪廻の故郷隔たりぬ(世阿弥の謡曲『実盛』室町時代14~15世紀)。9/529完了助動詞「つ」
動詞「う(棄)つ」の「う」が脱落したもの。意志動詞の完了。~た、~てしまった見るべき程の事は全て見つ。今はただ自害せん(安徳天皇辞世歌)10/5210完了助動詞「たり」意識完了助動詞「つ」の連用形「て」+「あり」=たり~ている、~てある、~た、~てしまう次女もまたさらりと他人の姓になりイヴの渋谷に消えて行きたり。電脳機つい忘れたり柏餅。新聞に載る慣用句の使ひ方わが誤用ひとつありしを恥じたり。初蝶を見たりトマトだけの昼餉。パソコンを実験したりボクシング。ガザ悲しガザより他を知らぬ児ら撃たれ死にたり両脚伸べて。約束の時間に夕立来たりけり11/5211
完了助動詞「たり」
連用・終止―たり未然―たら
連体―たる已然・命令―たれ
連体形ー外つ国に行きたる人は容赦なく疲れ果つるまで写真を見せつ。未然形ー月かげも帰るの途を忘れたらむ、さくら散るまま、おぼろなるまま。已然形ー他人事と思ひてニュース見たれども浅間の灰の多摩にまで降る。殿の寝姿今朝こそ見たれ、五月野に咲く百合の花。12/5212完了助動詞「り」~ている、てある、~た、~てしまった。次第に「たり」に代わるようになった。已然形に付く。生きとし生けるもの:生き+あり=生けり=生きている至れり尽くせり:至り+あり=至れり=至っている尽くし+あり=尽くせり=尽くしている白壁に空蝉残し夏行けり。欲深き人の心と降る雪は積もるにつれて道を忘れり。娘の当前により、これを恥ぢれり。男どもみな稼ぎにて居らざれば、女ども出でて見れり。山川の日ぐれの岩にひとり居れり川魚の飛びの暗くなるまで。神は死せり(ニーチェ)すべては終わりぬ。キリストは死ねり。絢爛たる二十一世紀、女性の世紀は来れり。13/5213完了助動詞「り」
終止・連用―り 連体―る
未然―ら 已然・命令―れ
連体形ー生ける犬は死せる獅子に優る。未然形ー米の配給日だが、私足が痛くて行けらず。秋里さん宅へお願いする。已然形ー我も老い肉体は死せれど、魂だけがどうしても逝けぬのだ。敵の舟をさしつめさしつめ射けるこそ、物に当るも健く、遠も行けれ(『源平盛衰記』)14/5214希望助動詞まほし上代語「まくほし」の音変化。推量助動詞「む」のク語法「まく」+形容詞「欲(ほ)し」。未然形に付く。話し手や話し手以外の人の希望、他に対する希望を表す。平安時代によく用いられたが、中世に入ると「たし」と交替するような形で、しだいに用いられなくなった。15/52希望助動詞まほし蝶にならまし遠くへと行かまほし。二三升蕎麦粉得まほし我畠。花芙蓉人美しく老いまほし。海魚見まほしと言ふ妹と水族館はビルの十階。正月は味噌汁こそあらまほし。絵筆持つままに固まり死なまほしと五十年絵を描きこし友言ふ。あなた様と杯せまほし梅酒よ。悲しみや苦しみ背負いて生くる人ここに来まほしともに拝み合わんと。16/52希望助動詞まほし連体形:浅間山訪ねまほしき百合の花。人は、かたち・ありさまのすぐれたらんこそ、あらまほしかるべけれ。(徒然草)連用形:友見まほしく家を出にけり。花や咲きぬらむと尋ねまほしかりける折節にて(芭蕉)未然形:我は、師にはなりまほしからず。已然形:吹く風にかすかな秋の気配など感じつつ飲む酒こそあらまほしけれ。17/52希望助動詞たし形容詞「痛・甚(いた)し」の音変化という。連用形に付く。話し手や話し手以外の人の希望、話し手の他に対する希望を表す。「まほし」に代わって、鎌倉時代に盛んに用いられたが、近世以降「たい」に引き継がれる。18/52希望助動詞たし若き人入学する我も行きたし。流星や叶わぬのなら忘れたし。美しく老いたし。ただ一度香炉峰の雪目で見たし。老いゆくも清くありたし桐の花。花びらを浴びて死にたし吉野山西行法師のあとを慕いて。蒲公英の絮につかまり旅したし。吊し柿粉吹く頃にまた来たし。19/52希望助動詞たし連体形:次の世に持ちて行きたき小春かな。修行に行きたかる人。連用形:春川の源へ行きたかりけり。南国へ行きたくて北風は吹く。未然形:学習塾には行きたからず。已然形:南米に行きたけれども、南米はあまりに遠し。20/52比況助動詞ごとし体言や連体形や助詞「の」「が」に付く。比喩に同等・類似の意や例示、不確実な断定(中世以後)を表す。中古では漢文訓読文に多用。「ごと」は上代・中古の和歌などに用いられた。終止形:おごれる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし(平家物語)松の緑こまやかに、枝葉汐風に吹きたわめて、屈曲おのづからためたるがごとし(松尾芭蕉『奥の細道』)連体形:和歌、管絃、往生要集ごときの抄物(方丈記)
連用形:あをによし奈良の都は咲く花のにほふがごとく今盛りなり(万葉集・328)
21/52打消助動詞「ず」:~ない
未然形に付く。仕事が終わると飲みにも行かず、腹を減らして帰宅します。初心を忘れず。世の先駆者の名に恥ぢず、心を磨き、身を鍛う。見ず知らずの外国人にまで気さくに声をかけ、話しかけてくれる、オーストラリア人のホスピタリティに感激。史学は死学にあらず。板垣死すとも、自由は死せず。死なば共にと日頃から思ひし事も夢なれや君は護國の鬼となり我は銃火にまだ死なず。待てども待てどもタクシーが来ず、途方に暮れた経験はないだろうか。22/5222
打消助動詞「ず」:
終止―ず連用―ず(奈良時代は「に」)
連体―ぬ・ざる未然―ざら(奈良時代は「な」)
已然―ね・ざれ命令―ざれ連体形ー緑濃き曼珠沙華の葉に屈まりてどこへも行かぬ人も旅人。中国が言えば言うだけ、靖国神社に行かざるを得なくなる。たばこを吸うなといわれたら、吸いたくなるのと同じことなどと開き直りました。未然形ー恋しさは同じ心にあらずとも今宵の月を君見ざらめや(『拾遺和歌集』)已然形ー初恋とまでは行かねど無邪気なる愛めざめしか三年生の孫。山は動かざれども、海は常に動けり。命令形ーたとい王侯の位を授けて誘うとも、この洪願を捨てざれ。23/5223打消推量助動詞「じ」
未来に対する打消し推量。未然形に付く。一人称主語:ないつもりだ(打消意志)その外:ないだろう(打消推量)もはや行かじ、汝がもとに。若き日の唄は忘れじ。悪声を聞かじ、悪人を見じ(『仏説観無量寿経』)父は汝を悪むにあらじ、母は汝を疎むにあらじ。(松尾芭蕉『野ざらし紀行』)千万発射つとも死せじ、断じて死せじ(磯部浅一『獄中日記』1937年)いたづらに、我は死なじと、誰もいへど、名もなき墓の、多くこそあれ。(与謝野鉄幹1873-1935)来むというも来じ時あるを来じというを来むとは待たじ来じというものを(『万葉集』)24/5224打消助動詞「まじ」平安和文に出現。終止形に付く。ただしラ行変格動詞は連体形。一人称主語:ないつもりだ(打消意志)二人称主語:ないほうがよい(打消適当)、ではいけない(打消命令)その外:ないだろう(打消推量)、ことができない(打消可能)、ないはずだ(打消当然)二度とバイクで行くまじ。古式捕鯨の伝統忘るまじ。浜に刻む想ひは波にさらわれど君を見詰めし心消ゆまじ。二度顔を見るまじ。あるまじき行為。死すまじくして死するは犬死にというものだ。直訴(じきそ)を遂げてしまうまでは死ぬまじ。25/5225
打消助動詞「まじ」
連用―まじく・まじかり連体―まじき・まじかる
未然―まじから已然―まじけれ
連用形ー露も止まるまじく吹き散らす(『源氏物語』)今生の再见はたとひ命あるとも叶ふまじかりけり(『太平記』)連体形ー行くまじき所に行き、行なうまじきを行なう。未然形ーされば、このいぬの知るまじからん所に出(いだ)し給へ(『今昔物語集』)已然形ー心あらん人に見せばやといひし難破わたりにもおとるまじけれど、あまざかる鄙なれば知る人もなく、名所の数に入らず。26/52推量助動詞「けむ」過去助動詞「き」の未然形の古形「け」+推量助動詞「む」。~たろう、~のたろう、~たとかいう。連用形に付く。君や来し我や行きけむ思ほえず夢か現か寝てか醒めてか(『伊勢物語』平安時代10世紀)無花果(いちじゅく)に干したる足袋や忘れけむと心もとなき雨慌し(長塚節19)人もこそ見れと諫めければ、箱王、此の言葉にや恥ぢけん(『曽我物語』鎌倉時代早期13世紀)閻錫山が作りしめし罌粟畑や見けん。(田中克己『夜光雲』1938年)原爆のまがを患ふ人々の五十年(いそとせ)の日々いかにありけむ(天皇皇后両陛下のお歌1996年)何処にか舟乗しけむ高島の香取の浦ゆ漕ぎ出来る船(『万葉集』奈良時代9世紀)死にけむこそあはれなれ。何の身にこの度はなりぬらむ。(『枕草子・上にさぶらふ御猫は』平安時代10世紀)神風の伊勢の国にもあらましを何しか来けむ君もあらなくに(『万葉集』奈良時代9世紀)27/5227推量助動詞「けむ」
終止・連体―けむ
未然―けま(上代のみ)已然―けめ連体形ー其の後、行きけむ方を人知らずして止みにけり。(『今昔物語』平安時代末期12世紀)已然形ー花咲きけめど28/5228
推量助動詞「らむ」「あり」の未然形「あら」+推量助動詞「む」。終止形に付く。ただしラ変動詞は連体形。
~ているだろう、(どうして)~なのだろう、~ような、~という。我が背子はいづく行くらむ沖つ藻の名張の山を今日か越ゆらむ
『万葉集』奈良時代8世紀頃忘るらむと思ふ心の疑ひにありしよりけにものぞ悲しき
『新古今和歌集』鎌倉時代13世紀生きて在ればいかに老ゆらむ絣着て写真に残る母は若かり。山高み
降りゐる雲と
まな鶴の
立てる川辺を
人や見るらむ
『新千載和歌集』室町時代14世紀冬ながら空より花の散りくるは.雲のあなたは春にやあるらむ
『古今和歌集』平安時代10世紀口をすぼめて呻吟す、今や死すらんと見ゆ。願わくは、花のもとにて春死ぬらむ、その如月の望月の頃西行法師『山家集』平安末期12世紀大和には鳴きてか来らむ呼子鳥象(きさ)の中山呼びそ越ゆなる
『万葉集』奈良時代8世紀29/5229推量助動詞「らむ」
終止形・連体形―らむ已然形ーらめ連体形ー花をのみ待つらむ人に山里の雪間の草の春を見せばや(『壬二集』鎌倉時代13世紀)已然形ー忘れ草生ふる野辺とは見るらめどこは忍ぶなり後も頼まむ(『伊勢物語』平安時代9世紀)30/5230
推量助動詞「む(ん)」「むず(んず)」未来に対する推量。未然形に付く。「~つもりだ」(一人称主語)、「~ほうがいい」~なければならない」「~なさい」(二人称主語)、「~だろう」「~はずだ」「~なら」「~ことができる」「~になっている」「~ような~」桜桜弥生の空は見渡す限り霞か雲か匂ひぞ出づるいざやいざや見に行かむ。外つ國々の長きを採りて、我が短きを補ふ世にも、いかで忘れむ、もとつ教は『国学院大学校歌』おのが身を恥ぢむ恋や噛みしめるたび唇は紅きを増せり。咲き咲かずよそにても見む山桜峰の白雲立ちな隠しそ『拾遺和歌集』平安時代11世紀いかなる折にかあらむ、文ぞある。『蜻蛉日記』平安時代10世紀曾子、病床で曰はく、鳥の将に死せむとするや、其の鳴くこと哀し。人の将に死せむとするや、其の言ふことや善し。『論語・泰伯』幾度か死なむとしては死なざりし我が来しかたのをかしく悲し『一握の砂』石川啄木19来むと言ふも来ぬ時あるを、来じと言ふを、来むとは待たじ、来じと言ふものを『万葉集』奈良時代8世紀31/5231終止・連体―む未然―ま(上代のみ)
已然―め已然形ー山吹の立ち装ひたる岩清水汲みに行かめど道の知らなく(『万葉集』奈良時代8世紀)32/5232推量助動詞「べし」未来に対する推量。終止形に付く。ただしラ行変格動詞は連体形。一人称主語:つもりだ(意志)二人称主語:がよい(適当)、なさい(命令)その外:だろう(推量)、ことができる(可能)、になっている(予定)、はずだ(当然)、なければならない(義務)、パン屋は午前中に行くべし。立春と聞けば寒さも忘るべし。無知と蒙昧とを恥づべし。花火はカップルで見るべし。男はかくあるべし。愚か者死すべし。死ぬべくば死ぬべし(『旧約聖書』)近日又大震あり、高汐来るべし。33/5233推量助動詞べし連体形ー秋暑し行くべき海をまだ知らず。購(あがな)ひて読まぬ書籍(ふみ)多しそのままに我は兵にぞ行くべかるらし。連用形ー夜桜を撮りに行くべく師匠と大阪城へ。大空を静かに白き雲が行く、我も静かに行くべかりけり。未然形ー働かざる者呑みに行くべからず。已然形ー山路来ての菫、道ばたの木槿こそ、この吟行の秀逸なるべけれ。34/5234推量助動詞「まし」反実意向、反実推量。未然形に付く。もし~たら、~だろう(「~ましかば、~まし」);~たら、よかったのに;~ようかしら。終止形ー君と共に行かまし、彼方へ。秋うらら何処かに杖を忘れまし。未然形ー君が折る峰の蕨と見ましかば知られやせまし春のしるしも。(源氏物語・椎本)わが背子と二人見ませば幾許(いくばく)かこの降る雪のうれしからまし。35/5235推量助動詞らし「あ(有)るらし」、「あ(有)らし」の音変化という。客観な根拠・理由に基づく確信のある推量を表す。終止形に付く。ただしラ変動詞は連体形。奈良時代には多用。平安時代には和歌にみられる。鎌倉時代には用いられなくなった。36/5236推量助動詞らしりんりんと鳴る履の音石段を降りて行くらし格子戸の外。かかる身にせられし恨み忘るらし窓より車に汝は手を振る。五月雨の闇の深さに鳴く河鹿早も今年の声老ゆらしも。蝉とても夢を見るらし真夜の声。目に見えぬ星もあるらし星月夜。白魚の死ぬらし白さまさりきて。町会の長老死すらし通夜帰り喪服の肩に金木犀。師の声の大きく聞こえ夏来らし。37/5237推量助動詞「めり」「見あり」または「見えあり」の音変化か。視覚による判断・推量。~のようにみえる。終止形に付く。ただしラ行変格動詞は連体形。帆を張れば、舟も行くめり(夏目漱石『幻影の盾』19)高く直き大和魂を忘るめり(賀茂真淵『にひまなび』1765年)万人の恐るる原子爆弾も神の光に遭えば消ゆめり(岡田茂吉『地上天国』1952年)物見よりはそれをこそ人見るめりしか。(『大鏡』平安末期12世紀)「もののあはれは秋こそまされ。」と人ごとに言ふめれど、それもさるものにて、いまひときは心も浮き立つものは、春の気色にこそあめれ。(吉田兼好『徒然草』鎌倉末期14世紀)明方の庭にたちて賞すめり。(『「朝顔百首狂歌集」』)契りおきしさせもが露を命にてあはれ今年の秋も往ぬめり(『百人一首』)38/5238推定助動詞「なり」「音(ね)」「鳴る」「泣く」などの「ね」「な」+「あり」=なり。終止形に付く。ただしラ行変格動詞は連体形。~と聞こえる、~と聞いている、~そうだ、~ようだ(聴覚による推定)貝殻を引いて行くなり秋の波。仏道をならふといふは、自己をならふなり、自己をならふというは、自己を忘るなり。(道元『正法眼蔵』鎌倉時代13世紀)おおよそ法華の見地より見るときは、かならず父少く、而して子老ゆなり。神去るときは、則ち死すなり。生くるものはいつか死ぬなり。小説は事実より来なり。39/5239断定助動詞「なり」格助詞「に」+「あり」=なり。体言や連体形に付く。~にある、~にいる(場所を示す)~だ、~である、~からである(断定を示す)~という(同格を示す)荒木坂は新坂の西なり。その男、先生なり。40/5240断定助動詞「なり」
連用・終止―なり 未然―なら
連体―なる 已然・命令―なれ連体形ー小諸なる古城のほとり雲白く遊子悲しむ(島崎藤村『千曲川旅情の歌』)顔回なる者あり(『論語・雍也』)美容室に行くなる人。未然形ー先生ならば、この本を必ず読む。已然形ー父は今神に召されて行くなれど、殘りし子らよ國を護れかし。41/5241断定助動詞「たり」~だ、~である。格助詞「と」+「あり」=たり。体言や連体形に付く。平安時代以後の漢文訓読文や和漢混交文に用いられた。寫眞師も先生たり。42/5242連用・終止―たり
未然―たら
連体―たる
已然・命令―たれ連体形ー先生たるものはまず人から慕われるようにならなければならないと思う。連用形ー天子の師たりうる者が任ぜられた。未然形ー国敗れて山河なし生きてかひなき生命なら死して護国の鬼たらむ。これ鬼たらば、汝をして水に入れるべし。已然形ーどんな悪法たれども、恪守ありき。命令形ーすべての医師は赤ひげ先生たれ。43/5243受身・可能・自発・尊敬助動詞る・らる未然形に付く。「る」は四段・ナ変・ラ変動詞、それ以外は「らる」中古になって発達。近世まで広く用いられた。凩に連れて行かるる影法師。忘れらる墓や地蔵に白菫。昼時に酒強ひらるる暑さ哉。見る者も見らるる猿も寒さうに。悪し善しを思ひ分くこそ苦しけれ只あらるればあられける身を(西行)柚味噌練って突然と来る死なるべし。強烈なる脳溢血と診断せらる。44/52受身・可能・自発・尊敬助動詞る・らる連体形ー大鳥居までは行かるる干潟かな。海風に染め上げらるる干し大根。
連用形ー句作りにひとり花野へ行かれけり。猟犬に獲物のごとく見られけり。未然形ー何処へも行かれず。初夢も見られず白む夜明けかな。已然形ーなべてならぬ法ども行なはるれど、さらにそのしるしなし。(方丈記)臺灣の人はおほかた濁りなき目して大日本を見らるれば、臺灣總督府のおこなひけることども正しく見らるなり。命令形ー朝の食事はその日の力食べて行かれよ学生よ。冷静になって周囲を見られよ。45/52使役・尊敬助動詞しむ・す・さす未然形に付く。「しむ」は漢文訓読文に使用。「す」「さす」は和文に使用。「す」は四段・ナ変・ラ変動詞の未然形に付く。それ以外は「さす」。1、ある事態が起こるようにしむける。2、「たまふ」など尊敬を表す語とともに用いられて、尊敬を強める。46/52使役・尊敬助動詞しむ終止形ー徐福をして海に入り、仙薬を求めしむ(漢書)連体形ー人を感動せしむること、真なるかな(去来抄・先師評)
連用形ーやがて山崎にて出家せしめ給ひて(
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